美大・芸大受験を目指すあなたに

企業の宣伝部や企画部、または広報部などに就職するとき、美大・芸大を卒業していることは少しだけ優位に働きます。けれど、ただ美大・芸大に通っていたというだけでは、その他の大学となんら違いがありません。できれば在学中に、いくつかの賞を取っておくことをオススメします。

 

実際の芸大受験/私の場合

前述にもあるように、私は理数系進学クラスにいながら野球部のレギュラーで、高校3年の夏大会が終わるまで進路を決めかねていました。大会が終わるまで野球以外のことを考えずにいたからです。大会が終わり、進路についてさんざん悩んだあげく、芸大に絞って受験しようと決心したのは秋口になってから。もちろん職員室のど真ん中で担任にボロクソにコキおろされました。  

 

知らなかったのですが、芸大を受験しようとする生徒は1年生のころから美術部に所属し、毎日放課後に指導を受けながら受験するもののようだったのです。そして、国公立大学を狙える理数系クラスの受験生が一人でも減ることは、公立高校の教諭陣にとっては人事評価に直結しているという、先生側の事情もあったようです。

 

芸大への推薦試験。美術部の先生がへそを曲げてしまい推薦のための内申書を書いてもらえず、結局は担任の数学教師に書いていただきました。美術教師以外の書く推薦書の効果がどれほどのものであったかは疑問ですが、ないよりはマシです。取り寄せた芸大の過去問を分析し、自分なりに対策をたて独学で勉強しました。それまでマンガ雑誌にイラストが掲載されたり、公募ポスターで賞を何度かとっていたのである程度の自信をもっていましたが、見事に合格できませんでした。

 

不合格という現実にガッカリしましたと同時にあせりもしました。なぜならあとは浪人生も参加してくる、推薦試験よりもっと競争率の高い一般試験しかないからです。そこで私は父に泣きついて「他人の倍、努力するから...」と有名なN美術専門学校の冬季集中講座にもぐり込みました。ここではじめてデッサンや色彩構成などを経験し、私もさすがに独学だけではヤバイと一心不乱に絵の勉強を深めていったのです。 一般的な大学受験とちがい芸大受験は実技がすべてです。暗記すべきものは何もありません。絵の勉強に集中すべく深夜にひとり黙々と取り組んでいました。

 

私の実家は鉄工所です。昼間は操業音がどうしても階下から聞こえてきます。 なので昼に寝て、夕方から予備校へ行き、そのまま夜から朝方まで勉強するというやり方をしていたのですが、ある日父に「てめぇーが人の倍、努力するっていうから予備校に行かせてやってるんだ。昼に寝て夜やるのは、夜寝て昼やる人間と一緒じゃねぇーか! 倍といった以上、昼も夜も死ぬ気でやらんか!」と鉄パイプでボコられました。もちろん必死で逃げましたよ。以前も殺されかけた経験がありましたし、そういう強烈さをもつ父でした。 

 

厳寒のなか、着の身着のまま逃げました。あまりの寒さに歯の根もあいませんでしたが、冷静になって考えると 父のいってることは間違いじゃない、と改心。その日からほとんど寝ずに、集中して勉強しました。あとで計算してみると1日平均1.5時間の睡眠でしたがおかげで美術部全員が落ちて私だけが合格しました。

 

これはなにも自慢したくて私の受験生活を披露したのではなく、対策と計画、集中と不安克服さえできれば、ごく短期間であっても競争率の高い芸大に合格できるということを紹介したかっただけなんです。コツさえつかめば誰にでもできることだと思います。

 

芸大受験のコツ/前半

たかだかマンガを描くのがうまかったり、学校関連行事で絵が入賞した経験をもつ程度の実力で、超高倍率の芸大へ入れたのはなぜか? 芸大へ入りたくて2浪、3浪してる人もザラにいるのに、私だけでなく、私が家庭教師をした子もみんな合格しているのはなぜか?  そこらあたりのコツについて書いていきます。受験に苦しむ若い人たち、その親御さん世代の参考になれば幸いです。  

 

<コツのひな形・原点>

ごく短期間で集中して芸大に合格した最大の要因は、多湖輝教授の書かれたベストセラー『ホイホイ勉強術』との出逢いにあると思います。 子どものころから多湖教授の『頭の体操』シリーズのファンだったからこそ『ホイホイ勉強術』に手が伸びたのだし、実際 私以外のかたがたにも効果があったようで、のちに大ベストセラー本になっていきました。 

 

 ※いまでは、改訂版が売られています

 多湖輝/著 出版社/幻冬舎『平成版ホイホイ勉強術脳力UP162の作戦』

 

この『ホイホイ勉強術』という本は、ちょっとまえのマンガでいう『ドラゴン桜』に似た勉強のノウハウ本です。この本があったからこそ、野球部でありながらもずっと上位の成績でしたし、その成功体験やノウハウを芸大受験に応用したおかげで、母校の教師たちのいう"奇跡の現役入学"ができたんだと思っています。 

 

まず『ホイホイ勉強術』と『ドラゴン桜』の共通点は「受験のようなバカげた制度は あくまでも制度でしかないのだから、堂々と実力で突破するのではなくギリギリでもいいから滑り込んじゃえ。受験を要領よく切り抜け、人生のもっと楽しいことに目を向けようよ」という精神です。苦行が好きな人や宇宙人のような天才(ホントにいる)は別として、普通の人がテクニックだけでクリアできるなら、それでもいいじゃん!って感じ?の本です。

必要な人はアマゾンで購入してください。でも簡単なポイントだけならここで紹介します。

 

 1. 場慣れする 

 2. 傾向と対策を考える

 3. 部分練習と全体練習をわけて考える

 4. 成功体験を積み重ねる

 5. 利用できるものは何でも利用する  

 

この『ホイホイ勉強術』のいいところは、押しつけがましい成功者の唯方法論ではないということ。

いろいろなノウハウが満載されていて、たくさんあるノウハウの中から自分にとって相性のいい方法を選んで利用すれば…というプレッシャーのなさにあると思います。選ぶ手法も攻める道筋も、テクニックだって1つだけじゃない。試した方法がダメだからといって根性でしがみつくんじゃなく、別方向から攻めるほうがはるかに効率がいいし、短期間で成果もだしやすいということを学んだ気がします。では、実際に私が試した手法を、上記5つのポイントにわけて説明していきましょう。

 

芸大受験のコツ/後半

<応用が効くコツは知らないと損をする>

「芸大受験のコツ」とは書いていますが、これは通常の定期テストや一般的な大学受験、はたまた入社試験などにも共通するコツだと思います。

でも芸大受験が普通の大学とちょっと違う点は、5時間ぶっ通しの実技試験にあります。私が受けたときには、開始から4時間の時点でどうしようもないほど完成していない女の子が、途中からわんわんと大声で泣き出し、係りの人に抱きかかえられて退出させられたことを覚えています。

 

1.場慣れする】 

これはたいした用事がなくても、何度でも進学希望大学へ足を運ぶことです。学食でご飯を食べてもいいし、ナンパしてもいい。できるだけ多くの時間をその場で過ごすようにすると受験に対する不安が薄れてくるから不思議です。できれば試験会場となる場所近くのトイレで、用を足せばいいのでしょうが、こればっかりは自然現象なので無理強いはできませんね。大切なのは「来年の春から私はここの学生になるんだ」と自分に言い聞かせること。私は会場となる校舎もトイレも見慣れてしまうほど通い詰めました。  

 

2.傾向と対策を考える】 

これこそ予備校の先生や指導者の一番大切な役目。もちろん自分で考えてもいい。けれどもやはり経験者に聞くのが一番です。

3.部分練習と全体練習をわけて考える】 

部分練習と全体練習をわけて考えないと、不安に押しつぶされます。わずかしかないギリギリの実力で集中して戦うのですから、なにより不安が一番の敵です。野球でいうと、部分練習とは素振りや筋肉トレーニングのこと。全体練習は試合形式の練習、対外練習試合など、ですね。

私が部分練習としてやっていたのは…

 ・毎日かならず、デッサンの腕使いを素振りする(縦・横・円弧)

 ・筆使いの練習のため、アニメ原画の彩色のバイト 

  1時間のあいだにどれだけ早く丁寧に塗れるか 毎日タイムを計りながらグラフにしていました   

全体練習としては…

 ・予備校の講師が傾向と対策を練ってくれた仮想課題を5時間という本番と同じ時間内で仕上げ

  翌日評価をもらいに。どんなに気に入らなくても時間内に仕上げるようにしました  

  この練習方法も理論上は14セット20時間ですが、集中力がもたず13/セットが限度でした

 

4.成功体験を積み重ねる】 

どんなに果てしなく高い山に見えても、一歩ずつ歩を進めていけばかならず頂上に近づく。けれどそれを自分が実感していなければ、やはり不安に押しつぶされそうになります。だからこそ成功体験(自分を認められる事実)はとても大切で、私は自分なりの成果を「みえる化」していました。  

 ・毎日13枚ずつできあがる作品を見える場所に積み上げる。 

  この山が少しずつ高くなって行くにつれ、不安が減っていきました。 

 ・毎日つけていた彩色スピードの時間短縮度合いのグラフも机のまえに貼っていました。 

  小さな工夫ですが、これが自信につながったと思います。  

 

5.利用できるものは何でも利用する】 

過去問には、過去に受験生がつくった優秀作品が大学側から参考例として紹介されています。その模倣を何度もやりましたし、アレンジも試しました。とにかく不安を消すために、予備校の講師が教えるコツを1冊のノートにまとめ、何度も読みかえしました。このときのコツは20数年たったいまでも覚えています。それほどに繰り返しました。

対して絶対に利用しなかったのは、受験生同士で交わされる情報。これほど不確かなものはありません。また同じクラスにかよう受験生からの作品評価にも一切耳を貸しませんでした。これは気の緩みを生むもとです。

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